2017年7月2日日曜日

1995年のレオナルド・ディカプリオ〜タイラー・ザ・クリエイター「Who Dat Boy」



 タイラー・ザ・クリエイターの新曲「Who Dat Boy」のミュージックビデオを靄(もや)のように覆う、不穏で怪しげな雰囲気は、紛れもなく『Bastard』(09年)、『Goblin』(11年)など初期作品群のそれである。前作『Cherry Bomb』(15年)は、それまでの三作品で展開された、タイラーとオルターエゴたちの物語から一転、「自己実現」を作品の主題に掲げ、若者を鼓舞する陽性の作品だった。ところが「Who Dat Boy」においては、またしても不気味なシンセが鳴り響く、陰気な作風に立ち返っているように見える。

 ミュージックビデオは、タイラーが愛車のマクラーレンを爆走させ、警察車両の追跡から逃げるところで終わる(暗転してもうひとつの曲「911」のパートに切り替わる)。皮膚の移植手術を施され、まるでお面を貼り付けたかのような不気味な顔をしたタイラーが運転する車の助手席には、謎の美青年が座っている。カメラがこの美青年の爽やかな笑顔を捉えたところで、タイラーはこう歌っている「95年のレオを探してる」。ここでいう95年のレオとは、レオナルド・ディカプリオのことである。というのも、ミュージックビデオの冒頭、暗がりの部屋で作業を行うタイラーの頭上には、ディカプリオ主演の映画『ロミオ+ジュリエット』(96年)のポスターが飾られているのが確認できる。また、この美青年の着る青い柄シャツは、明らかに『ロミオ+ジュリエット』でディカプリオが着用していた衣装を模したものである。でも、どうしてディカプリオなのだろうか。彼は本物のディカプリオなのだろうか。本物だとすれば、若き日のディカプリオがどうして存在しているのだろうか。クローン技術による複製か、はたまたタイムマシーンで過去に遡り、連れて来たのだろうか(冒頭でタイラーは火花を散らしながら何かを作っているように見受けられるのだが、ディカプリオの存在と関係があるのだろうか。爆発の閃光で一瞬映る手元には時計が見えるのだけど、あれはタイムマシーンだったりして。タイラーは過去に「95年のレオと結婚したい。タイムマシーンが欲しい」との発言もしている)。そういえば『ロミオ+ジュリエット』では、(&の部分を+で表したタイトル表記然り)十字架が印象的に使われているけど、十字架といえば、オッド・フューチャーもたびたび使用してきたモチーフであり、やはりあの頃の暗い陰気な作風に回帰しようとしているのだろうか。ミュージックビデオに制服警官が登場することから、「She」との関連性を疑う声も聞かれる。「911」パートでタイラーが四人映っているのも、オルターエゴの存在を想起させるようで気がかりだ。考えれば考えるほどに、謎は深まるばかり。あの美青年は何者なのだろうか...(who dat boy)。


Tyler, The Creator - "Who Dat Boy"








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